「お金がないからバイトします」と先日書きましたが、バイトっていうのはちょっと嘘で、あることを試してみたんです。


お店の小さな黒板に、縦書きで「営業中 三時〜八時 珈琲」と書いて、お店の階段の、通りから見えるところに置いた。ようするに、朝の3時にお店を開けたら、誰か入ってくるか試してみたんです。提供するのは珈琲とカフェオレだけ。前日の夜にお店に来てくれた人には、「明日の朝こんなことやろうと思ってるんです」と伝えましたが、それ以外一切アナウンスしなかった。


なんでこんなことをやろうと思ったか、理由は二つ三つあるんだけど、めんどくさいから書かないけれど、やってみたら、久しぶりにお店をやってて楽しかった。 車も人もほとんど通らない、町が静かで、その静けさが、本当に本当に心地良かった。音数の少ないピアノの曲を、聴こえるか聴こえないかくらいまでボリュームを絞って流した。いい時間だった。とても。東の空が白んできて、刻一刻と色を変え、表情を変えていく様を見ているだけで、豊かな気持ちになれた。窓から入る光が、店内を少しずつ染めていく。ああ、このお店はこんな表情もするんだなって、新鮮な喜びがあった。


毎日この時間にお店をやるにはどうしたらいいか、何度も考えた。今も考えている。叶えられそうにない自分の余裕の無さが、ただただ残念だ。それでも、たまにならやれそうだ。思いついたときに、またやってみたいと思っている。その時も、特にお知らせはしない。だって、その方が面白いから。  

Keisuke Suzuki