手書き
雪が積もりましたね。若松はどうですか。猪苗代は、ちょっくら雪かきしとくか、程度は積もりました。
朝ごはんを済ませたあと、家の前の雪かきをしていたときのことです。
あれ、俺なんで手書きで文章書いてないんだろ。
話しに脈絡がなさすぎて、なんのこっちゃ分かりませんね。
昨夜のことです。
「除雪機の使い方教えるから、この冬は毎朝雪かきやってくれ」と父が晩酌をしながら言うのです。やってもらえると仕事に行くとき大分助かるから、と。これだけ聞くと、なんだか何もしていない役立たずの息子みたいですね。まあ、近しいものはありますが。
雪かきすることは全然構いません。むしろ、運動できて良いくらいです。僕が嫌なのは、機械の使い方を覚えることです。億劫です。機械がないと物事が進まなくなることが嫌です。身体ひとつあれば済ませることができる、そういう状態が理想です。とはいえ、素手で雪かきするわけじゃありませんよ。スコップくらい使わせて下さい。というか、これだけ聞くと、雪かきしたことがないお坊ちゃんみたいですね。やってますよ、毎年!
「もう無理、限界ってくらい雪が降ったら使い方教えて」と父には言いました。そんなこと言ってられるの今だけだ。内心そう思ったに違いありません。
今朝の雪の量は大したことはありませんでした。カモシカロードへ行くためのウォーミングアップととらえ、軽やかに雪かきをしていたときのことです。
あれ、俺なんで手書きで文章書いてないんだろ。
ずっとiPadを使っています。その前はノートパソコン。その前はデスクトップ、、、手書きで文章を書いていたのは、、、高校生までじゃないか。
除雪機の使い方を覚えるのは億劫だと言っておきながら、文章を書くときiPadを使っていていいのか。スコップ片手に宙を見つめました。駄目だろ、それ。筋が通らんだろ。
極力車を使わずに歩いて水を汲みに行くことに喜びを感じている奴が、iPadで文章書いてていいのか。ネルドリップで珈琲を淹れてる奴が、いやそもそも、手書きで文通しましょうよって人に言ってる奴が手書きで文章書いてないって駄目だろ。文通のときだけ手書きって、それ、人前でいい子ぶってるのと変わらんだろ。吹きつける雪が顔にバチバチ当たります。
捨てるのもったいないなととっておいた手書きのメニュー。原稿用紙に毎日万年筆で書いていた、あのメニューです。あの裏に、今、この文章を書いています。万年筆のインクが切れてしまったので、PILOTのドクターグリップで書いています。近々インクを買いにオサダにいかねば。
手書きの特訓だということで、今日から好きな作家の著作を模写することにしました。読んだことのない作品を、読みながら書いていく。向田邦子さんの「女の人差し指」です。表紙がこれまた味があっていいですね。iPadがまだなかった時代。人がまだ人間らしかったころ。人々の顔つきもこんなに険しくなく、スマートフォンとかいうまったくスマートではない中身のない板きれに魂を抜かれ、手書きで文章を書くなどという、わずか数十年前までは当たりまえだったことを、さも、地球に隕石がぶつかったかの如く大騒ぎしている。人類は過去何万年も手書きだったのです。骨付き肉を直火であぶって食っていたころから。なにを今さら。
歩いて汲んできた水でウイスキーのお湯割りや珈琲を淹れていたから説得力があった。そのことを忘れていました。
手書きは歩くことと一緒かもしれません。
注:手書きで書いた文章をiPadで入力している。なんだかフィルムで撮った写真をデジタルにしているような、そんな虚無感がありますね。まあ、仕方ないか。
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