waterismの丹治くん

  お店閉店の日。はるかちゃんが一人でお店にやってきたから、「丹治くんは?」と聞くと、なんだか言葉を選ぶように、「仕事してます」と言った。ふーん。なにか気になるなあと思ったけれど、ぼくはぼくで大忙し。馴染みの人たちがたくさん来てくれて、てんてこまいだった。そのうち来てくれるだろうと、気持ちを切り替えて仕事を続けた。


 中盤に差しかかったころ、丹治くんが息を切らせてお店にやってきた。一体どうしたんだ!?。手には何か冊子のようなものを持っている。「昨日家に帰ってから、寝ずにこれを作ってました」。それは、ぼくが書いているこのblogを、本として一冊にまとめたものだった。


 「二、三時間もあれば終わると思って始めたら、全然終わらなくて、今になっちゃいました」。全力で走ってきたみたいだ。ひょっとしたら間に合わない、きっと焦ったに違いない。ぼくも驚いたし、みんなも驚いた。その出来栄えに、さらに驚いた。丹治くんは、二、三週間前から閉店まで、一日も欠かさず、毎日お店に顔を出してくれていた。「ぼくみたいに、まだお店に来て日が浅いやつよりも、みなさんの方がずっと悲しいと思う」。お店がなくなることを、そう言って、泣いてくれた。


 閉店してからある日のこと、喫茶店で丹治くんと打ち合わせをした。あのときの、blogをまとめた本の話になると、丹治くんがまた良いことを言った。「物としてそこにあるって大事なんですよ」。ぼくは改めて教えられた。「鈴木さんって何やってる人なんですかって聞かれたときに、こういうことやってますって、サッと見せれるものがあるといいじゃないですか」。


 時さえ忘れて年間購読のデザインを、ぼくは丹治くんにお願いすることにしました。もうずっと前から決めてたんだよ。お店をやってたときから。丹治くんには言ってなかったけど。たぶん、丹治くんがぼくの前に現れたから、ぼくも、「文章と写真を紙して」なんて、自分一人じゃ到底できないことを思いついたんだと思う。


年間購読第一号、


昨夜書き上げました。


ぼくの文章はもとより、丹治くんのデザインも、楽しみにしていてください。



年間購読、

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savannaparty@gmail.com