今日はキツネはいなかった。カモシカもいなくなっていた。細い骨が数本残っているだけだった。誰かが片付けてしまったのか。すぐ傍に、藪の中へと続く踏み跡があった。少し入ったところに、脚が一本だけあった。それ以外は何もなかった。


蛆は静かなものだった。数も減って、死んでいるものもいる。なんとか生きている蛆は、アリに連れていかれてる。抜け落ちた毛は、地面にへばりついてしまったみたいに、ずっとそのままだ。蝶々が、その上を何度も飛んでいく。